ワイン名：Clos Saint Denis
ヴィンテージ：1996
格付：AC Clos Saint Denis
購入先/価格：酒のハートランド/20,000円
インポータ：ラック
飲んでしまった日：2004年4月3日
コメント：デュジャックの1996ヴィンテージは、1997ヴィンテージの混入によって薄められている、という情報を、随分前になるがワインのコンサルタントにも携わるある人物から直接聞いた。当初リリースされた（日本に最初に入ってきた時期の）モレ・サン・ドニ1996は素晴らしいものだったが、ドメーヌから追加を１年待ってくれといわれて再輸入した同ヴィンテージは薄まった味になってしまっていたというのだ。情報提供者は、そのことから、あのデュジャックでさえ需要に応えるため貧弱なヴィンテージでこのようなことをしてしまうのだ・・・と言っていた。
　今改めてワイン関連のホームページを検索すると、なんと、いくつかのサイトでデュジャックの'96は薄いと評価されている。ただしその理由については、「'96は出来がよすぎて収量が多く、薄くなってしまった」というような、苦し紛れとしか受け止められないような内容だ。だが、出来がよかったこの年に「収量が多かったから薄まった」なんて嘘だとすぐに判る。さすがに'97で薄めたと書かれたサイトはまだ見たことがないが、やはり薄められたのは事実だったのかもしれない。しかし、もしそうだとしたら、いくつかは薄められていない'96も存在したのだろう・・・。デュジャックさん、あなたほどの人が何故・・・

　さて、そんな噂はともかくとして、実際に飲んだデュジャックは大変素晴らしかった。

　VINCHATにて。
　ワインは2000年にハートランドで購入し、デファンスールにパックして押し入れで３年半ほど保管していたもの。温度管理はまったくされていない。購入時に酸素を吸入していたならすでに逝っているかもしれない、という不安を持ちながら、「ブラインドしたい」のリクエストに応えることにしました。

　ブルゴーニュグラスに注がれたワインはきれいな赤。ところが、サービス担当が酔っていて、後になるほど澱が入っている。ビールのようなつぎ方なのだ。でもワインは生きていた。最初から香りを立ち上らせていて旨い。このバランスは初体験です。一番強く感じる香りは、実は私が少し苦手な「青っぽい」香り。同じような香りは過去、メオ・カミュゼ、プリウレロロック、フェブレイなどの偉大なワインで感じたものと通じている。しかし他のバランスが全然違う。酸はしっかりあるけど果実の甘みがあり、トータルで酸味を感じにくい。オレンジっぽい？香り。獣肉とは違うのだが野性的だ。デュジャックを飲んだことがある人が「（濃厚で甘みがしっかりとあるので）これは絶対にデュジャックではない」と言っていたから、このボトルでは生産者の個性が感じにくかったのだろうか？。樽香もほどよく、美味しい。モレ・サン・ドゥニ村なんてほとんど飲まないから、まだこの村の特徴は全然判らない。もっと熟成させたいと思った。やはり'96って凄いよね。甘い果実実が凝集しているのに酸もあって、本当にいい年だと思います。